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2026.06.25
【祐心レポート総集編】琉球から世界へ!海外育成プロジェクト

2026年2月、FC琉球からラトビア・ヴィルスリーガ(1部)FKトゥクムス2000へ期限付き移籍した幸喜祐心選手(宜野湾市出身)。文化もサッカースタイルも異なる東欧での武者修行を経て、生まれ育ったふるさとに帰ってきた。異国の地から届く写真や本人のコメントとともに定期的にお伝えしてきた「祐心レポート」最終回は、約半年間の成長をたどる総集編。世界と自身の現在地を知って心身ともに成長し、故郷・沖縄でさらなる飛躍を期す幸喜選手の応援を、引き続きよろしくお願いいたします。


■ 変わったもの、変わらないもの

6月2日夜。相棒のマスコットを手に那覇空港の到着ゲートから出てきたその姿は、すっかりたくましくなっていた。一回りも二回りも大きくなり、厚みを増した身体に、鍛錬の跡がにじむ。スタッフたちに迎えられて見せた、屈託のない笑顔はそのままだ。聞けば、友人や家族にも帰国を知らせず戻ってきたという。時に周囲を驚かせるほどのマイペースぶりも変わりなかった。

変わったものと、変わらないもの—。この半年間で最大の気づきは、これまでの自分や環境への「甘え」だったという。「(プロ入り後の)3年間、もったいない時間を過ごしてきた。自分に甘すぎた」。誰も知らない、何もかもを自分で管理しなければならない環境に身を置いたことで、サッカーだけに集中できる環境が整う地元沖縄での毎日のありがたみを実感。同時に思い知ったのは、これまでの覚悟の甘さだった。

バランスを考えた食事も、質の良い睡眠も、大切なことはもちろん理解していた。ただ、口にするものの摂取量やバランス、タイミングまでを自ら厳しく管理し、徹底したことはなかったという。自宅でも、練習場でも、気心の知れた周囲のサポートを受け、意識せずとも徹底できていたからだ。「いかに自分がこれまで恵まれていたかを知った」。21歳、慣れ親しんだ島の外に出て、プロとして生きていくための心構えを再認識した。

 

■ 出会いが最大の収穫

単身海を渡り、新たな気付きを得てから、「成長のための最も大きな存在だった」と振り返る出会いがあった。日本人の先輩、柴田駿選手とチームメイトになったことだ。Jリーグクラブのトップチームを経ることなく、約10年にわたって欧州クラブを渡り歩く異色の29歳。「雲の上の存在」と慕い、学びを得ようとピッチ内外で日々行動を共にした。

身体を鍛えるトレーニングも、食事管理も、思い通りにいかない試合でのメンタルコントロールも。異国の地で挑戦を続ける先輩の経験にとことん耳を傾け、そばで教わり、自分に落とし込んだ。帰沖した日に空港で手にしていたスマートフォンの画面には、翌日以降の自主トレーニングメニューがびっしり。どれも柴田選手と一緒になって考えた、今の自分に必要なオリジナルメニューだ。

「下半身が弱くて、ジャンプ力や瞬発力が課題だった。少しずつトレーニングの効果も実感しているので、体力や筋力を落とさないようにこだわって続けていきたい」と、帰国後も精力的に身体を動かしている。

先輩の日々の助言もあって、ピッチでは4月にリーグ初ゴールを挙げて以降、好調をキープした。5月16日に行われた、ラトビア2部リーグを戦うセカンドチームの公式戦。FWでの起用に、「ハットトリックできる気がした」と有言実行の3得点。「大事なのはとにかく結果。調子が良くても悪くても、得点できるように」。巡ってきた出番でゴールにこだわり続けたのは、それが最も分かりやすい結果だからだ。背景には、これまでの競技人生で培ってきたサッカースタイルとの違いに順応するまでの葛藤があった。

まだ街に雪が降り積もっていた加入当初、毎日の練習は戸惑いの連続だった。「パスをつなぐよりも、個の力で突破する。守備でも1枚前へ出るのではなく、あえて引いて守る。今までの自分にはない感覚だった」。沖縄の地で培ってきたサッカースタイルや自分のプライドを貫いた結果、時に強く叱られたこともあった。そのたびに、つたない英語で何度も指揮官へ質問し、ラトビアのサッカーを体得する地道な作業。これまでなら投げやりになっていたであろう場面でも、己と向き合い、乗り越えるしかない。思い通りにいかない環境の中でもがきながら、いかに思考を整理し、自分をコントロールして試合に向かうかを学んだ。

「一つひとつの物事を自分で整理できるようになった。これが一番の成長だと思います。どんな状況でも自分のやるべきことを整理し、徹底する。これまで思い至らなかった部分です」。そう語る顔付きは、わずか半年前とは全くの別物だ。

 

■ 異国の文化に触れて

スタイルの違いはピッチの上だけではない。5月5日、生まれて初めて海外で誕生日を迎えた。ラトビアでは誕生日ケーキを主役が自ら用意し、チームメイトにプレゼントするのが慣習だという。近くのスーパーに買い出しに行き、練習場でケーキを切り分ける。トレーニングを終えてロッカーに戻ると、待ち構えていた仲間たちがバースデーソングで21歳の記念日を祝ってくれた。

オフの日にはチームメイトと一緒に首都・リガへ足を延ばし、カフェやショッピングでリフレッシュ。豊かな緑に壮大な湖。時に思い悩み立ち止まった時には、大好きな自然が心を癒してくれた。米ではなくジャガイモなどを主食とし、ソバの実をお粥や付け合わせとして食す文化も、幸い身体に合っていた。「何も問題なかった。適応力が高いことに自分でも驚いた」。郷に入っては郷に従い、異国の文化や価値観へ理解を深めた。

 

■ 学びを、次のシーズンへ

「一瞬だった」という充実の半年間。激しい球際の勝負を重ね、目線は気持ち新たに迎えるシーズンへ向いている。

「やってきたことや学んできたことを始動日から発揮して、チームの雰囲気を自分が変えたい。点を取る気持ち、絶対負けないぞっていう熱量。新シーズンで自分が率先して、より怖い攻撃を見せられたらと思います。もっともっと成長したい」。慣れ親しんだ練習場に戻ってまず待ち構えるのは、レギュラー争いの日々。次々とあふれ出る来季への力強い言葉には、東欧で身につけた自信と覚悟、そして何よりプレー面だけではない半年間の成長を試すことへの期待感がにじむ。

沖縄から羽ばたいて、大きく、強く、たくましくなって帰ってきた。蓄えたエネルギーがチームと融合したとき、どんな化学反応が起こるだろう。Jリーグ秋春制移行の元年、愛するクラブのためにすべての力を注ぐつもりだ。

 

 

 

■ 祐心レポート バックナンバー

vol.1:異国での挑戦に込めた思い

vol.2:球際の戦い、成長の余地

vol.3:芽吹きの春、続ける進化

 


■ FK トゥクムス 2000 と育成業務提携締結「海外育成プロジェクト」

FC琉球は2026年2月より、ラトビア・ヴィルスリーガ(1部)所属のFKトゥクムス2000と育成業務提携を締結。2028年1月までの2年間にわたり、FC琉球に所属する若手選手が毎年1名以上、FKトゥクムス2000へ期限付き移籍を行います。幸喜祐心選手は本提携の第一弾として同クラブへ期限付き移籍し、挑戦を続けています。本提携により、海外でのトレーニングや公式試合を戦い、厳しい競争環境で経験を積むことで、加速度的な成長支援を図ります。またスカウティング部門の連携や交流を図ることで、日欧のネットワークを共有しながら、両クラブの更なる発展を目指してまいります。

▼「海外育成プロジェクト」詳細はこちら

 

■ 幸喜祐心選手 プロフィール

幸喜 祐心/Yushin KOKI

■生年月日:2005年5月5日(21歳)

■出身地 :沖縄県宜野湾市

■身長/体重:177cm/65kg

■ポジション:MF

■選手経歴:大山SC-FC琉球U-15-FC琉球U-18-FC琉球

■Jリーグ記録

J1合計 リーグカップ合計 J2合計 J3合計
試合 得点 試合 得点 試合 得点 試合 得点
0 0  3  0  0  0  32  2

 

▼ 幸喜祐心選手 特集動画

 

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