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2026.06.17
【番記者コラム】華やかなオールスターで佐藤久弥が得た「悔しさ」と「指標」

6月13日、6万人を超える観衆が集ったMUFGスタジアム(国立競技場)。「JリーグオールスターDAZNカップ」の決勝の舞台に、FC琉球の守護神・佐藤久弥はWEST-Bの選手として姿を見せた。東京ヴェルディ在籍時の2024年、レアル・ソシエダ(スペイン)との親善試合で立ったことのある国立のピッチだが、今回はJリーグ60クラブから選ばれたトップ選手たちとチームを組んで立つ舞台。試合後、佐藤は率直な思いを口にした。

「素直に、サッカー人生において良い思い出になったなと思います。テレビで見て『すごいな』と思っていた選手たちと一緒のピッチでできるというのは本当に嬉しかったですね」。

大観衆の熱気の中、トッププレーヤーたちと共にプレーした時間は純粋に充実したものとなったようだ。

 

■ 2日間で生まれた本気の戦い

とはいえ、ピッチ上の空気は決して和やかなお祭りムードだけではなかった。決勝でWEST-BはEAST-Aに0-1で敗戦。活動期間は前日練習を含めてわずか2日間だったが、試合後の選手たちは本気で悔しがっていたという。

「本当にひとつのミス、ひとつのプレーが大事になっていました。みんなが『悔しい』って思えたのは、本当にチームが一つになっていたからだと思います」

他クラブの選手や即席のDF陣とも積極的にコミュニケーションを取り、本気で勝ちを求める空気がそこにはあった。だからこそ、敗戦の悔しさもしっかりと味わうことになった。

「ああいうシュートを止めてこそ価値を見せられる」。

その悔しさの中心にあったのが、試合開始3分の失点シーンだ。左サイドからの見事な連携で崩され、最後は石井久継(湘南ベルマーレ)からパスを受けた土居聖真(モンテディオ山形)に、鮮やかな対角線のシュートを決められた。相手の完璧な崩しに対し、「仕方ない」と割り切ることもできる場面だが、佐藤の捉え方は違った。

「ああいうレベルのプレーがあるっていうのを知れたのは収穫です。自分がチームに帰って、上を目指していく上での一つの指標になりました」。

また、日頃から自身に厳しい要求をするというチームメイト、富所悠の「止めろ。キャッチしろ」という言葉も引き合いに出し、「ああいうシュートを止めてこそ僕自身の価値を見せられると思う」と語った佐藤。トップレベルの質を肌で感じたことは、さらなる成長へのモチベーションに変わっている。

 

■ 通用した武器。深まった自信

もちろん、刺激を受けただけではない。自身の武器が通用した手応えもある。その象徴が5分過ぎの場面だ。EAST-Aの土居が蹴った鋭いインスイングのコーナーキックに対し、佐藤は迷うことなく飛び出し、左腕を最大限に伸ばしてパンチング。ファーサイドで待ち構えていた菅田真啓(ベガルタ仙台)のシュートコースを的確にずらしてみせた。

以前から「少しでも自分が出られるところがあれば、全部出ていった方がディフェンスも楽になる」と語り、クロス対応への積極性や守備範囲の広さにこだわってきた佐藤。相手のショートカウンターに対する冷静な予測も含め、日々のリーグ戦で磨き続けてきたプレーがこの大舞台でもしっかりと発揮された瞬間だった。

「琉球で積み重ねてきたものは少なからず出せていたシーンもあったので、そこは素直に自信を持っていいかなと思います」。

 

■ 言葉ではなく「背中で」

この経験を、チームに戻って仲間たちにどう伝えていくのか。そう問うと、彼らしい答えが返ってきた。

「言葉じゃあんまり伝えられないと思うので…自分自身で噛み砕いて、普段の行動とかで示していけたらなと思います」

そして、この一日を通じてプロサッカー選手としてプレーする意義を改めて実感した佐藤は、力強くこう語った。

 

「いろんな多くの人に支えられて僕らの試合ができていること。だからこそ、勝利でサポーターに届けなきゃいけないという義務も改めて感じました」

 

国立で味わったトップレベルの基準と、明確になった自身の現在地。この一日で得た収穫を手に、佐藤久弥は再びゴールマウスに立つ。

オールスターはゴールではなく、「指標と責任」を胸に、さらに高みを目指すための新たなスタートラインだった。

 

【文・写真:仲本 兼進(RYUKYU SOCCER PRESS)】

 

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